愛媛県大三島の吉川自然農園から野菜を購入している。
全国に数ある無農薬栽培農家の中から、吉川自然農園に決めたのは、都会から移住して野菜農家に転身した吉川さんのHPの言葉に心が動いたからだ。
「豊かな自然の中で1日1日がきちんと積み重なっていく様な暮らしがしたかった」
この言葉を見たとき、胸がいっぱいになった。東京に何十年暮らして、愛着があって、でも、私の中にふっと湧く、不足感とも欠乏感とも違う、何か忘れてるという気持ち。
そこから野菜をお願いするようになってからのお付き合いだが、今回は、ぜひプロの農家さんのお話を聞かせて下さいとお願いしたら快く承諾して下さり、
にわかに現実味を帯びる
*食糧不足のこと、
*タネのこと、
*肥料のこと
*家庭菜園のこと
*移住のこと
など、一緒に話を聞きたいと言ってくれた友人達と共にオンラインでさまざまなお話を伺った。
数年前まで、F1種と在来種の違いもわからず、遺伝子組換えもゲノム編集も知らず、農薬についても、日本や世界の食糧をめぐる本当の仕組みもわかっていなかったオメデタイ私だ。
農家が農家としてやっていけなくなる危機がそこまで迫っている。職業としての農家経営が危機に瀕していて、プロではない一人一人が自立して自分の食べ物を調達するときが来ている。
コミュニティに属して助け合うのが理想だとわかりながら、
私の今のところの備えは、備蓄と自家菜園(田舎に移住して畑が理想だが)と農家さんとのつながりの三本立て。
亡くなってしまったが、私の叔父は農薬や土壌の研究者だった。戦後の農家の生活向上の為という使命に誇りを持っていた叔父は、農薬を嫌がる私に、「オマエは目先のことしかわかっていない!」といつも呆れていた。
その叔父がもし生きていたら、農家が苦しくなる現状と、昆虫食や培養肉が推進される食の現場をどう考えるだろう。叔父が生産者のために「目先のこと」ではダメだと考えたあれこれは、地球的には「目先のこと」だった可能性もある。
肥料を止められ、タネを止められ、家畜を減らされ、農家が農家としてやっていけなくなる危機がそこまで迫っている。食糧危機を演出するため作為的に起こされる気候変動。「仕方ない」という空気感でまずは給食から昆虫食を導入される日も近いのでは
水溶性の農薬で激減したミツバチのように、我々人間も減っていくのだろう。
2022年9月の現在。オランダでは、家畜の淘汰やチッ素の削減といったグリーン政策と作為的な肥料の高騰に対して、農家さん達の大規模デモが起きている。
私達の身体も心も食べたものでできている。
「人の身体だけではなく、心も左右する食の危機」は、すぐそこに迫っている。